現行「教育大綱」に基づいた小学校国語内容構成の特微
田辉
中央教育科学研究所
中国では、義務教育階段の教材は「一綱多本」という原則に基づいて、「人民教育出版社」を始め,多くの省または市によって,編成、出版されたのを使っております。「一綱多本」とは国家の統一の「教育大綱」に定める教育方針と目標に従って、各省は自分の現実に基づいて自分なりの教材を編成し使って宜しいということでありますが、勿論国の「教材審査委員会」の審査と許可を得なければならないのです.現に一番広く使われている人民教育出版社の教材から、小学校国語を取り出して、教育目標達成のうえで、その内容構成の特徴を分析してみようと思っております。
一、時代と思想的特徴
人民教育出版社で作られた小学校の国語教科書は、文選的な体系において,読む、書く訓練を中心に、言葉も内容も美しい文章からなっております。すべての文章には、一定の思想的、文化的なものを伝えている動きをもっております、国語教材は教育の重要な手段として、政治的な傾向、文化的知識及び正しい考え方と人生観を子供たちに積極的に伝えなければなりません。
小学校の国語教育は幼児児童生徒の人間として調和の取れた成長を目指し、国家及び社会の形成者として、身心共に健全で、21世紀を主体的に生きることが出きる国民の育成を目標とされています。「教育は未来に向け、世界に向け、現代化に向けるべきだ」という方針のもとで、現行「大綱」の前書きの部分には、「小学校の国語教育は、国民全体の民族素質の向上にたいして、重要な役割を果たしているから、国語の学習指導を通して、子供たちに思想道徳的素地,言語文学的能力、知能的理解力、強い意志、立派な人格及び学習の良い習慣を、しっかり身に付けさせることを目標とする」と書いてありますから、これこそ国語教科書の文章選択の基準であります。そして文章というものは、特定の社会生活と時代背景の下に生まれたものだから、そこから、この時代の人々の考え方と精神状態が、当然、伺われるし、時代的雰囲気も、強く溢れていると思います。例えば封建時代の「三字経」、「千字文」など「学びて優れる者仕になる」など封建時代の価値観と理念をよく現してきたのですが、建国後の五十年代の教科書には「私は赤いネッカチーフを愛する」とかいうような文章から、中国とソ連とは同志ブラス兄弟である年代において、共産主義の跡継ぎを育てる傾向が何より強かったのです。
九十年代に入って、中国は、ご存じのとおり、社会主義制度のもとで、とうしょうへいしの理論を指導にして、独特の改革開放の道を歩んで、経済の発展と社会の進歩を図っておりますから、社会内部の発展状態に依存しつつ、また一定の方法で、発展に貢献している教育の内容も、九十年代の時代精神をあらわしています。その特徴として、優れている社会主義制度、助け会っている親しい人間関係及び子供たちが共産党の指導の下で、楽しく育っている内容が取り入れられています。例えば「チビの撮影師」、「親しんでいる人」などの文章の学習を通じて、くにを愛し、社会主義を愛する心の芽生えを期待しているのではないかと思います。
それに対して、日本の教育課程審議会によって作成された「学習指導要领」のなかには、学校教育の目標について次のように規定してあります。「個人として、また国家、社会の一員として、社会生活を営むうえて必要とされる知識、技能、態度の基礎を身に付け、豊かな人間性を育成するとともに、<生きる力>と、どんなに社会が変化しようと、<時代を越えて変わらない価値あるもの>を子供たちにしっかりと身につけさせることである」と、したがって、教育的な意図と学習しゃの主体的な活動の相互関係を成立させる 媒介物である教材の内容構成も、この目標にしたがって、自然、社会、人、文化などとの係わりを表現するものでなければなりません。この教材を道具にして、生徒たちに自然や美しいものに感動する心、郷土や国を愛する心、他人を思い遣る心、正義感、公德心ボランテイヤ精神など、豊かな人間性を育てることを狙っています。中国のほうでは、鮮明な時代感のあるものを、好んで教科書の内容とするのに対して、日本では、時代を越えて変わらない価値あるものをより多く選んだと感じているのですが、これが異なっている社会体制から違いではないかと考えております。
社会体制及び時代的な内容に次いて、中華民族の幾千年も渡った文明史を表すものです。とくに、古代の中国人によって、造られた素晴らしい文化や、進んだ科学技術及人類の歴史に素晴らしい業績を残した昔の名人。例えば、<李時珍>や<畢昇>など。子供たちに、民族の一員としての自尊心や、自信心を持たせることにその目的があるとおもいます。そしてまた、中国にとって、侮辱を被った、一番辛かった歴史のあることも、避けなく、教科書内容にしたのであります。代表的なのは、<圆明园の烧却>などです。近代歴史にあんな暗黑時代があったことを常に意識させることによって、民族振興の責任感を強く持たせます。そして、中国人は国土を守るために、血を流して闘ったのを描いた文章もあります。例えば、<黄継光>、<毛岸英>の物语り、壮大な戦争場面を描いた<大别山への千里の躍進>など。戦争時代の艰難困苦を理解させ、今日の平和と幸せは、そう容易く得たものではないと分からせるものです。<敢えて歴史に直面する>。これが、この教科書編成の一つの特徴であると思います。
さて、自然との調和を主張している伝統的な東洋思想を、よいよく受け継いだ日本の学校教育における人間形成の目標と、それを達成するために使われる教科書の内容構成からも、伝統的な日本文化が覗かれます。例えば、<光村出版社>の小学校国语の教科書の各册には、それぞれ<たんぽぽ>(二上)、<赤とんぼ>(二下)、<わかば>(三上)、<あおぞら>(三下)、<だいち>(五上)<銀河>(五下)というふうに、タイトルを付けてあるのです。内容も各册の名前にふさわしく做成してあります。これに比べれば、中国の小学校国语教科書には、最初にかならず<私が先生が好きだ>とかいうような、人間関係を取り扱う内容です。または、社会主義の伦理道德観を表現した<雷锋の日記>とか、先辈たちの品だかい人格などを表す<一つの茶碗>などをとおして、直接子供の人間形成を関与するのであります。
それから、美しい自然と豊富に恵まれた資源を言?える文章もけっこう採用されたのですが、これが日本とおなじように、自然に感動する心と美を求める心、しかも国を愛する心を养成するのが目的であると思います。
内容構成で见逃せないのは現代生活を描いた部分であります。これこそ、一番時代的雰囲気のこもっている部分だとおもいます。とくに改革開放してから、人々の物心両面の生活にもたらした著しい変化のよく表れた部分であります。何れにしても、義務教育の国语教材は、子供の视野をなるべく広げるように、幅広い世界を子供に展示します。文章を世界认识の窓口にして、さまざま物事との出会いを通して、世界にむけての目を広げ、现代意識に目觉め、人間形成の土台をしっかり打ち付けることを期待しているのであります。
二、調和の取れた内容構成
前に述べ小学校国语教材の内容構成においてよくバランスが取れていると思います。まず、思想的教育性と道具的働きのかんけいです。国语教材とは子供の人間形成の素材であり、または国の言葉と文字を勉强する道具でもあります。この教材では、人間养成を强调していると同時に、言語、文字の訓練も重んじでいるのであります。道德、思想的教育は、こどもの年齢と理解力に応じて、受け入れやすく施しているのです。つまり、言語、文字の学習指导をしているうちに、面白い物语りや、お話を通して、自然にその教育の目的を達成することを予想して、文章選择をしたのだと思います。例えば、<美しい興安嶺>とか、<桃描きの話>など、奇麗な言葉表現を学んでいるうちに、美しいものに感動し郷土を愛する気持が独りでに湧いてクルのであります。それで、爱国心と、美意識の教育目的を達成するのであります。
それから、教材内容の文学性と实用性とのバランスとりです。国语を勉强して、文学的教养を身に付け、よろよく、くにの文化を理解させるのは国语教育の目的の一つです。しかし、言葉と言語は人间のコミュニケ-ションの道具であることも忘れてはならないものです。それで、この教材では、美しい書かれた、めいさっかの代表作とか、古代の诗歌など、言葉も内容も奇麗なのを沢山選んだのであります。朱自清の散文、李白の诗などが、それです。また、読み書き练習などの部分で、知らせ、手纸、日記など実生活のなかで、よく使われる文章様式を学ぶのであります。
まとめて言うと、この教材の内容構成において、思想教育的機能を重んじて、時代精神の强く溢れているところに、特色があり、または、内容構成のよくバランスのとれたところにも、特徴があると思います。
義務教育の目标をうまく達成するために、実用的、效果的な教材を、より多く编成されるのを期待しております。
参考書目录:
小学校国语教育大綱--中国国家教育委员会
教育大辞典--上海教育出版社
内外教育--平成9年5月--12月号
初等教育资料--平成10年1月--9月号