菅首相と全閣僚が15日の靖国神社参拝を見送ったのは、中国や韓国などアジア諸国に配慮するとともに、自民党政権との違いをアピールする狙いもあるとみられる。
首相は15日午前、静養先の長野県軽井沢町から帰京して公務に復帰。千鳥ヶ淵戦没者墓苑で献花した後、全国戦没者追悼式に出席した。靖国神社には首相や閣僚だけでなく、副大臣、政務官も参拝しなかった。
首相は就任直後の6月、参院本会議で「首相や閣僚の公式参拝は問題がある」と述べるなど、首相在任中は参拝を見送る意向を繰り返し表明してきた。今月10日には日韓併合100年を機に「痛切な反省と心からのおわび」を表明する首相談話を閣議決定するなど、アジア重視の姿勢を前面に打ち出している。
ただ、民主党からは15日、羽田雄一郎参院国会対策委員長らが靖国神社を参拝するなど、党内に保守系議員も少なくない。首相談話の決定経緯や内容には党内から不満も出ており、追悼式での首相式辞は、昨年の麻生元首相とほぼ同じ内容だった。
民主党は昨年の衆院選前に作成した政策集で、新国立追悼施設の設置を明記しているが、菅首相は「9月の党代表選に向け批判材料を減らしたい」(周辺)として、2011年度予算への調査費計上は見送る考えだ。